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乳剤選びで変わるスクリーン印刷品質のポイント

公開日:2025-03-26  更新日:2025-03-27

前回の記事「スクリーンメッシュ選びで変わるスクリーン印刷品質のポイント」ではスクリーンメッシュの選び方について解説しましたが、今回はスクリーンマスクを構成するメッシュの次に大事な要素である「乳剤」について詳しく解説していきます。

乳剤とは

スクリーンメッシュの表面に塗布され、露光によって硬化する感光性材料のことをいいます(レジストと呼ぶ場合もあります)。
露光工程により感光した部分は硬化し、未露光部分は現像(洗い出し)で除去されることで、スクリーンマスクのパターンが形成されます。
また、乳剤の厚みによりインキ/ペーストの厚みをコントロールする働きも持っています。

乳剤の種類

各製版メーカーが一番ノウハウとして押さえているのが乳剤といっても過言ではありません。
乳剤を構成している内容としては、ジアゾ系乳剤(ジアゾ化合物を含む光硬化型樹脂)やSBQ系乳剤(スチレン・ブタジエン・キノン系エマルジョン)等がありますが、各社各様に開発を進めており、構成している内容よりも用途に合わせた乳剤の選定を行うことに重きを置いています。
弊社におきましても、自社開発乳剤を準備し、お客様のご要求にマッチングさせるべく対応を行っています。

乳剤の選定

印刷用途・インキ/ペーストの種類(希釈剤を含む)・洗浄液等の状況に応じ、対応できる乳剤の選定が必要となります。
印刷パターンや印刷基材よっても、乳剤の選定は製版を作製する上で大事な要素となります。
まずは、パターンの概要がどのような内容なのか・使用されるインキ/ペーストはどのようなものかをお知らせいただき相談されることをお勧めします。

弊社乳剤の一例

製品名 特徴 解像性 平滑性 耐溶剤性 耐摩耗性 追従性
NOA 竹田東プロの標準乳剤です。
解像性・耐摩耗性・耐溶剤性 に優れています。
極性溶媒に対する耐久性も
高く、幅広い分野でご使用いただけます。
丸 丸 二重丸 二重丸 丸
ARK NOAをベースに乳剤硬度を柔らかくした乳剤です。
基板の角が当たることによる版膜割れを防止します。
丸 丸 二重丸 丸 丸
ARK4 解像性に優れ、バターン直進性が高い乳剤です。
細線パターンに向いています。
二重丸 丸 二重丸 丸 丸
ARK55 平滑性、耐摩耗性に優れた乳剤です。
薄膜印刷でのベーストのにじみを抑制します。
丸 二重丸 二重丸 二重丸 丸
  • 解像性: パターンの解像性の指標となります。
  • 平滑性: 乳剤表面の粗度を意味します。平滑性が向上することによりシャープネスな印刷が可能になる傾向が高くなります。
  • 耐溶剤性: 乳剤の持つ溶剤(インキ/ペーストや含有される溶剤分、希釈溶剤や版洗浄液等)への耐性を示します。耐溶剤性が弱い場合には膨潤や破損、溶解の問題が発生する場合があります。
  • 耐摩耗性: 印刷のショット数がおおくなると、スキージや被印刷物により乳剤厚が薄くなってきます。ロングショットを行うようなケースでは、選定条件のひとつとなります。
  • 追従性: 乳剤が被印刷物に対して、コンタクトが高くなるか甘くなるかの指標です。乳剤の硬度が柔らかいものは追従性が向上する傾向が強いです。追従性が向上することで、にじみの抑制効果を発揮するケースもあります。

乳剤の厚み

パターン印刷の場合、使用するメッシュの吐出量と乳剤の厚みで、インキ/ペーストの吐出厚(印刷厚)が変わってきます。印刷厚を管理する上では、スクリーンメッシュの選定のほか、乳剤厚のコントロールも必要となります。

ベタ印刷の場合は、メッシュの吐出量で印刷厚が決まってくる特性があります。従ってベタ印刷の場合は乳剤厚をそれほど気にすることはありません。

乳剤の平滑性

乳剤表面の平滑性は、スクリーン印刷時のにじみを抑制する上で必要になる場合があります。
スクリーンマスクはメッシュに乳剤を塗布し画像を形成します。その際、メッシュの縦糸と横糸のほか、オープニングという空間(インキ/ペーストの吐出部)を埋めるように乳剤を塗布するため、メッシュの上部とオープニングとでうねりが出てしまいます。このうねりがインキ/ペーストのにじみを生む原因となるケースがあります。

弊社では、後述する直間法ではなく独自のフラット加工という手法を用い、このうねりを軽減させ印刷性に寄与しています。

【通常の塗布】

通常の塗布

【フラット加工】

フラット加工

乳剤の塗布方法

① 直接法

バケットという容器に乳剤を入れメッシュに直接塗布していく方法です。
乳剤厚み1μmから100μm以上と任意の厚みで調整が可能です。

直接法

② 直間法

シート状にした乳剤をメッシュに貼り込む方法です。
シート状にした乳剤(既定の厚みのもの)を使用するため、直接法の様に任意の厚みに調整はできません。直接法よりも版膜自体の平滑性が高い傾向となる特徴があります。

直間法

まとめ

用途や目的に応じて、スクリーンメッシュと同様に適切な乳剤種類や乳剤厚みを選定することで、印刷品質や効率が大幅に向上します。印刷対象物の材質や形状、求められる精度、耐久性を考慮してスクリーンマスクの仕様を決めていくことが、スクリーン印刷には欠かせない要素となります。

竹田TOPROのスクリーンマスク製品について

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