スクリーン印刷のニジミ・カスレ原因と対策|製版仕様で解像性を向上させる方法
前回までは、スクリーン製版を高精度化させるためにメッシュや乳剤、版枠について述べてきました。
今回は印刷性に踏み込んだ製版の仕様について解説していきます。
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印刷解像性の向上とは
前回までに述べてきたように、製版を構成する部材の最適化や印刷条件の最適化を行うことにより、印刷解像性は大きく変わってくる要素となります。
しかし、印刷パターンに依存してくる問題は、製版の部材や印刷条件だけでは改善できない部分も出てきます。実際にどのような問題が内在しているのか、またその要因は何かを見極め、製版仕様に結び付けていくことも大事な要素となってきます。
それでは実際に印刷解像性で度々問題視されるニジミやカスレについて考えていきましょう。
1.ペースト
この部分に関しては、使用用途に合わせた特性があるため、大きな変更ができない部分となってくるでしょう。
それでも、粘度やレオロジー・チキソ性等について、スクリーン印刷に適した内容に調整が可能であれば改善に近づけられる大きな要素となります。
例えば、粘度が低いものでは、どうしても印刷時に広がってしまう特性があり、非常にニジミやすくなってしまいます。逆に粘度が高いものでは、製版のメッシュ部や乳剤壁面部分を通過しにくく、カスレになってしまう場合があります。
レオロジーについても、流動性やレベリング性において製版のメッシュを通過することを踏まえた内容が適正か、チキソ性においてどの程度の形状保持ができるのかといったところが、大きな視点にもなってきます。
2.印刷基材
基材そのものにざらつきがあったり凸凹があったりするものについては、ニジミやカスレの原因になりやすく印刷解像性を大きく損なう可能性があります。
また、PETやガラスの様に表面の平滑性が高く、吸湿性が低い素材は、非常にニジミやすい傾向にあります。
基材に依存しない製品で基材そのものの見直しが可能であれば、印刷解像性について大きな進展がみられる要因の一つとなるでしょう。
3.パターン構成
メッシュカウントや紗厚に対してパターン線幅やピッチが適正か、乳剤の解像性や乳剤厚みはパターンに合致しているか、などがマッチングしていないと、やはりカスレやにじみの要因となってきます。
紗厚や線径に対して、乳剤の厚みが適正でないと、印刷解像性に影響を与えてしまう場合もあります。
ペーストや基材については、ある程度条件が限られているため簡単に変更することができないケースが多く、パターン構成を改善するにも限界があります。そのような場合において、製版の仕様を少し変更するだけで改善が見込めることもあります。
まずはニジミの発生原因と対処方法について。
Ⅰ.版膜表面の平滑性
乳剤表面は、メッシュのワイヤーとオープニング(空間部分)により、普通に乳剤を塗布すると平滑にはなりません。ワイヤー部分は盛り上がり、オープニング部分はへこむようなイメージとなります。
そのような状態で印刷しますと、凹んでいる部分にペーストが周り込みやすくなり、それがニジミの原因となります。そのような状態の対策としまして、フラット加工をお勧めします。
版膜表面を平面化し、オープニング部の凹みを極力解消する手法です。

スクリーンの紗厚と乳剤厚のバランスを考えて、乳剤のクッション効果とフラット加工を組み合わせながら利用していくことも、大事な手法と言えます。
Ⅱ.基材やペーストの状態
基材やペーストの要素でニジミやすいのであれば、版膜の表面に撥液加工(BK加工)を施すこともお勧めです。基材に凹凸があるような状態のもの、粘性が高く製版開口部壁面にくっつきやすいようなペーストも抜け落ちやすくなります。

基材に既にパターンがあり段差になっている。。。

基材にパッド等があり、そこに導通を図る印刷を行いたい。。。

レジスト等のニジミが発生しやすい。。。
また、BK加工は、スキージングにより裏周りが発生してもそのショット毎にペーストを基材に置いていきます。そのため次のショットには裏周りしたペーストが版膜に残ることなく印刷ができるため、ニジミの抑制となります。

裏周りしたペーストは製版に残ってしまい、次のショットのにじみの核となってしまいます。


BK加工を行うことにより基材への接着力が勝り、製版にペーストが残らず、次のショットへの影響が少なくなります。

純水とBCA(ブチルカルビトールアセテート)を版膜に滴下した時の状態を比較したものです。
BK処理有のものは、撥液効果が出ていることが分かります。
以上のように版膜表面に平滑性や撥油性を施すことで、ニジミが改善した事例は多くありますが、パターンの形状によっては、このような処理を行うだけでは思うような改善効果が得られないことがあるのも事実です。
次回は、そのようにパターンの形状が要因になっている場合の対処方法について述べてまいります。
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